チーズケーキ課題について考察してみた【アスペルガーの人には解けない?】

発達障害に関する色々

最近、Twitterでチーズケーキ課題というのが話題になっていました。

チーズケーキ課題とは、大人の発達障害かどうかを見分けるための簡易的なテストです。
この問題の答え方で、アスペルガ―傾向の有無が分かるそうです。

まずは実際に解いてみましょう。

恵さんの家におじさんが遊びに来ました。
恵さんはお母さんに手伝ってもらって、チーズケーキを作りました。
恵さんは食卓で待つおじさんに言いました。「おじさんのためにケーキを作っているの」。
おじさんは「ケーキは大好きだよ。チーズが入っているのはダメだけどね」と言いました。
ここで質問です。気まずいことを言ったのは誰ですか?
また、なぜ気まずいのでしょうか?

私が出した答え

私はこの問題を問われて、すぐには答えを出すことができませんでした。

気まずい状況になっていること自体は即座に理解できたのですが、「気まずいことを言ったのは誰ですか?」という問いに引っかかりを覚えたのです。

「誰ですか?」と聞いているということは、特定の人物名が答えになるということでしょう。

つまり、「気まずいことを言ったのは誰ですか?」=「悪いのは誰ですか?」という問いに変換できます。

 

しかし、私から見ると誰も悪くないように見えるのです。

一見おじさんが悪いように見えますが、恵さんは「おじさんのために”ケーキ”を作っているの」と言っただけで、”チーズケーキ”とは言っていません。

一方恵さんも、おじさんがチーズケーキを嫌いなことはもちろん知りません。

そう考えると、たまたま運が悪くすれ違いが起きただけで、誰が悪いとは言えないと思ったのです。

そもそも、この問題の答えはどこからが”不正解”なのか

この問題の正解は「おじさん」です。

理由は、恵さんとお母さんがおじさんを喜ばせようとチーズケーキを作ってくれたのに、その気持ちを無下にする発言をしたからです。

 

では、「誰も悪くない」という答えは”不正解”なのでしょうか?

「誰も悪くない」は“不正解”側の答えになるのでしょうが、私としては完全に不正解とはいえないのではないかと考えています。

なぜなら、おじさんの発言によって気まずい雰囲気になったこと自体は認識できているからです。

 

このチーズケーキ課題に関しては、「おじさん」という答えだけが“正解”で、それ以外の答えは“不正解”と二極化してしまうのはおかしいと思います。

 

なぜなら“不正解”とされる回答にも差があるからです。

発達界隈の他の人の回答を見ていると、私と同じように「誰も悪くない」と答えた人がとても多いことに気付きました。

それに、発達障害と診断されている人が多いとはいえ、やはり「おじさんの発言によって気まずい空気になった」こと自体は認識できている人が多数派です。

「おじさんの発言によって場が気まずくなることすら想定できなかった」という人は少数派で、そういう人はアスペルガ―の傾向がより強めなのかなと思いました。

正解のカギは年齢差?

私も最初は、答えがおじさんであることに全く納得がいきませんでした。

おじさんだって、チーズケーキを作っているとは知らなかったんだから・・・と、悪者扱いされるおじさんが気の毒に思えていました。

 

しかし、実際の場面を想像してみると考えが変わりました。

お母さんに手伝ってもらってチーズケーキを作ったということは、恵さんは小学生くらいの幼い女の子だと思われます。

一方おじさんは、おじさんというだけあって中年男性でしょう。

それを踏まえると、ストーリーの概要は次のようになります。

幼い女の子がお母さんと一緒にチーズケーキを作り、
「おじさんのためにケーキを作っているの」と言ったのに対して、
中年男性が「ケーキは大好きだよ。チーズが入っているのはダメだけどね」と言った

 

こうして見ると、「そりゃおじさんが悪いわ!」と言いたくなる人も多いのではないでしょうか。

幼い女の子がお母さんと一緒におじさんのために一生懸命チーズケーキを作ったのに、おじさんはそのチーズケーキが嫌いだと言った。

おじさんは作っているのがチーズケーキだとは知らなかったとはいえ、その場に居合わせたとしたら、「おじさん、余計な事言っちゃったなぁ・・・」と私なら思ってしまいます。

多くの人は「大人が幼い子どもを傷つけるのはかわいそう」と思いますよね。

 

逆に、恵さんとおじさんの立場が逆で、おじさんがケーキを作る側だったらどうでしょうか。

「恵ちゃんのためにケーキを作ったんだよ」
「私ケーキ大好きなの。でもチーズケーキは嫌い」

同じ話の流れでも、この場合は恵さんが悪者になるとは限りません。

なぜなら、恵さんはまだ子どもだから。

せっかく作ってくれたおじさんには気の毒ですが、「子どもは正直だ」という社会通念があるので、恵さんは悪者にはならない可能性が高いと思います。

この場合はむしろ、恵さんの好みを事前に確認しなかったおじさんの方が悪いと言われてしまうかもしれませんね。

 

「何を言うかより誰が言うか」といわれるように、言う内容よりも言う人の立場で周りの反応が変わることは往々にしてあります。

このチーズケーキ課題は、単純に発言の内容だけではなく、それぞれの人の立場も考慮した上で誰が悪いのか、総合的な判断を求められる問題なのではないでしょうか。(2021.7.13)

そもそも問題の出し方が不適切

2021.7.14加筆

昨日、チーズケーキ課題は、発言の内容や経緯だけではなく、人の立場も考慮した上での総合的な判断が求められる問題、と結論づけました。

ただ今日になって、別の考えを持つようになりました。

そもそも、問題の出し方に不備があるのです。

 

私がこの問題を初めて見つけたのはTwitterでした。
Twitterなので、もちろん問題は文面で提示されています。

前述したようにこの問題のシチュエーションは、文面だけで判断するのと実際の場面を想像するのとでは大分印象が変わりました。

実際の場面を想像することで、答えがおじさんであることに納得がいったのです。

 

しかし、あくまでも問題が文面で提示される以上、文面から得られる情報だけで判断しようとするのは当たり前な気もします。

つまり、発達障害ではない人が解いても、答えがおじさんだと即答できる人は少ないと思うんですよね。

 

そもそも、この問題の目的はアスペルガーの傾向があるかどうかをチェックすることです。
さらに言えば、「人の気持ちが分からないことで、実生活で支障が出そうな人」をあぶり出すための問題です。

 

しかし私からすれば、おじさん以外の答えを出した人も、人の気持ちが分かっていないようにはまったく見えないんですよね。

むしろ一見悪いと言われそうなおじさん側の目線にも立って、公平に判断できているように思えます。

それまでの経緯を考慮せず、気まずい空気にしてしまったおじさんが悪者だと即答できる人の方が、よっぽど人の気持ちが分かっていないと思えませんか?

 

おじさんの発言によって恵さんを傷つけてしまった、その結果として場が気まずくなったことに気付けている時点で、人の気持ちが分かるという点では合格だと思うんですよね。

 

そう考えると、問題文の質問は「気まずさの発端となる発言をしたのは誰ですか」とした方が適切ではないでしょうか。

とにかく現状の問題文だと、発達障害ではない人でもおじさんが悪いとは即答できる人は少ないと思います。

 

 

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