発達障害の人は共通の趣味を通じて人間関係を作ればいい」という話をよく聞きます。
この考え方は間違ってはいないのですが、実はそう簡単にはうまくいきません。
私自身は音楽が好きで、大学時代に音楽オタクが集まるサークルに入りましたが、まったく馴染めませんでした。
当時の経験から、同じ趣味の人が集まるコミュニティですら馴染めなかった原因と対策について考えてみました。
発達障害の人が趣味のコミュニティに馴染めない理由
ストライクゾーンが狭すぎる
発達障害の人は興味の対象が狭く、趣向もマニアックな人が多いので、コミュニティの中でも趣味が合う人を見つけづらいです。
この傾向は特にアスペルガ―の人に顕著です。(ADHDの人は好奇心旺盛で興味の幅が広いので、そこまで困らないかもしれません)
一口に音楽といっても、ジャンルによって全く雰囲気が違いますよね。
「音楽が好き」という同じコミュニティの中でも、ロックが好きな人、クラシックが好きな人、ヒップホップが好きな人、テクノが好きな人など、様々な趣向の人がいます。
そのため、本当に趣味が合う人を見つけるのは案外難しいのです。
また、興味の対象が狭すぎるばかりに話を合わせづらくなることもあります。
たとえば音楽が好きな私は、特定のアーティストの中でも気に入った数曲だけを何度も聴き続けて、他の曲は大して知らないもしくは好きじゃないということが多々あります。
そうなると、
○○というアーティストが好き
と話したときに、
その人知ってる!○○って曲がいいよね
とせっかく相手が合わせてくれても、
その曲は別に好きじゃないんだけど…
となってしまうことがあります。(こういう場合はとりあえず「それもいいですよね~」と肯定的に反応した方がいいです)
さほど趣味の合う人もおらず、変に気を使う場面も多いとなると、コミュニティに所属するメリットは薄れてしまいます。
興味のある分野だからこそ好き嫌いが別れる
興味のある分野のものほど、嫌いなものを批判したくなってしまうことはありませんか?
たとえば私は、写真には強い興味があるわけではありません。
しかし、興味がないからといって嫌いなわけではなく、むしろどの写真も「それなりに綺麗な写真」に見えるのです。
興味がないものに対してはそもそも良し悪しの区別がつかないので、特別好きにはならなくても嫌いにもなりません。
一方、自分の好きなものとなるとどうでしょうか。
私自身、好きな音楽は毎日繰り返し聴くほど大好きですが、聴いているとイライラしてしまうような好きになれない音楽もあります。
インターネット上だと、自分の好みにそぐわないものに対しては「〇〇はクソだ!」「〇〇以外絶対に認めない!」と過激に批判している人も見かけますよね。
そこまできつい表現ではなくても、人前でアンチ発言をしてしまうと、周りの人から反感を買い、コミュニティから追放される可能性があります。
特に発達障害の人は思ったことをそのまま言ってしまう傾向があるので、失言には要注意です。
興味がない話をしている時に露骨につまらない顔をしてしまう
前述したように、同じコミュニティでも様々な趣向の人がいるので、興味のない話をされることもあるでしょう。
発達障害の人は興味がないものに対しては全く関心を示さないので、そういうときにつまらない顔をして周りを不快にさせてしまうことがあります。
これをやってしまうと、当然周りの人には嫌われていきます。
雑談の時間を楽しめない
私は音楽好きのサークルに入りましたが、ずっと音楽の話をしているとは限りません。
コミュニティの性質にもよるとは思いますが、私の場合は大学のサークルだったので、雑談をしながら何となく溜まっていることも多かったです。
発達障害の人は、雑談などの目的のない会話を好まない人が多いと思います。
雑談自体が嫌いではなくても、大勢になると会話にうまく入れなかったりすることもありますよね。
私が大学のサークルにいたときは、正直「この時間でバイトでもした方がマシなんじゃないか」と思ってしまったことが何度もあります。
大して楽しくもない雑談の時間が長いと、コミュニティから足が遠のいてしまうこともあるでしょう。
発達障害の人が趣味のコミュニティに馴染むには
私は、必ずしもコミュニティに所属しなければならないとは思っていません。
1人で楽しめるものは1人だけで楽しむのも全然ありだと思います。
しかし、たとえばバンドや演劇、合唱など、1人ではできないことにチャレンジしたいと思えば、どうしても何らかのコミュニティに所属しなければならなくなります。
そんなときには、以下の2点を心掛けましょう。
興味がなくてもなるべく顔に出さないよう心掛ける
まず、先に挙げた怖い無表情にならないように気を付けましょう。
目が死なないように若干見開くようにする、口角を上げるなど、意識して表情を作るようにします。
なかなか難しいことではあるのですが、大きめに相槌を打つ、笑顔を心掛けるなど、興味のない話でも楽しく聞いているように演技することも必要だと思います。
極力否定的な表現を使わない
まず、好きではないものをわざわざ公言しない方がいいです。
話題に困ったときに、嫌いなものを共通の話題にしようとしてしまうことはありませんか?
その場は良かったとしても、他の人が実はそれが好きだったりすると後からやりづらくなります。
また、自分が好きではないものを相手が好きだと言ったときには「へぇ~、そうなんだ~」くらいに流し、「私はそれ好きじゃない」とは言わないようにしましょう。
好きではないものの話題が出たときの返しのバリエーションとしては、「名前は聞いたことある」が有効です。
実際は知っていて自分は好きではないけど、正直に嫌いとは言いづらいし、だからといって肯定するのもはばかられるし、「そうなんですね」だけでは味気ないかなというときに、「名前は聞いたことあります」と言うのです。
肯定も否定もせず、素っ気なさも薄れるので、とても便利なワードだと思います。
好きでも嫌いでもないくらいのものであれば、「うんうん、いいですよね~」くらいにサラッと肯定してしまうのもありです。
以上、発達障害の人が趣味のコミュニティに馴染むコツについて解説しました。
難しい部分もあるとはいえ、趣味は対人関係を築く上で強力なツールになります。
心がけ次第で、コミュニティ内でいい関係を築けるようになる可能性も十分あると思います。
対人関係で悩んでいる人に、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
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